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10.122015
低炭水化物ダイエット、糖質制限ダイエット。効果のほどは?

ここ数年、糖質制限や低炭水化物といったキーワードでのダイエットが話題になっています。
そもそも、このへんを理解していないと、今食べているものの中から、とりあえずご飯(米)を抜くだけという食事をしてしまいがちです。
これでは、単に今までいつも食べていたものを減らしただけなので、低カロリーダイエットと同じ原理になってしまいます。
もちろん、その人が太っていて、ろくに運動もしないのに、無駄にご飯をおかわりしたり、大盛りを食べていたとしたら…食べ過ぎが抑えられてやせられるかと思います。
しかし、糖質制限はリバウンドしやすい、健康によくないという言葉もよく聞くし、本当のところどうなの?という意見も多くありますので、私なりの意見を書いてみましょう。
そもそも炭水化物は「糖質+食物繊維」のことをいいます。
これは、まず知っておかないといけない知識なのですが、三大栄養素にカテゴリされている炭水化物。実は「糖質+食物繊維」のことをいうのです。
食物繊維というと、野菜などに含まれている?という印象が多いとおもいます。
いわゆる米やパンは”でんぷん”という糖質の固まりのようなもので構成され、食物繊維もわずかに含む炭水化物です。
また、野菜は物にもよりますが食物繊維が多めで、糖質がほんの少しの炭水化物ということ。(人参などは糖質多め)
ですから屁理屈なのかもしれませんが、野菜も炭水化物にカテゴリされるので「炭水化物抜きダイエット」や「低炭水化物ダイエット」という言葉はすこしおかしい。これらの方法で一般的な糖質の少ない野菜まで減らしなさいとは指示しないはずでから。
一般的な理解では、糖質=砂糖をはじめ甘いもの 炭水化物=米やパンや麺類などという印象があるようですね。
でも、ここの理解がズレていると、いろんな本や雑誌、テレビで言っている糖質と炭水化物という言葉がぐちゃぐちゃになり、一体何のことを言っているのか理解できなくなります。結果、困ることになるのです。
なぜ米やパンや麺類は糖質が多いのに甘くないのか?
糖質といっても、米や砂糖のかかってないパン類、そして麺類は甘くないです。
これに砂糖よりもたくさんの糖質が含まれているなんて想像もつかないという人も多いと思います。
ではなぜこれらは甘く感じないのでしょうか?
さっきもお伝えしましたが、いわゆる主食にされるような炭水化物と称される食べ物達の主成分は”でんぷん”です。でんぷんは糖質というカテゴリのなかでも”多糖類”に分類されます。
もっとも小さい単位は単糖類といって”ブドウ糖”は代表的ですね。
でんぷんは、このブドウ糖がギュッと固まったものの集まりなのです。ブドウ糖はそれだけを舌で舐めたりすると甘く感じますが、でんぷんのようにギュッと結束されているかたまりの状態だと甘味は感じません。
しかし、消化酵素といわれるそれを分解する体内の酵素を使うと、その結束が崩れることで、甘い味がでてきます。
ご存知の方も多いと思いますが、唾液にはアミラーゼというでんぷんを分解する消化酵素を含んでいます。ですから、米をずっと噛んでいると、ほんのり甘く感じる…というのはそういうことです。
しかし、口の中ではそのでんぷんも完全には分解されるわけではないので、ほんのりくらいしか甘くは感じません。
でんぷんがブドウ糖という最小単位になるには、胃を通過してさらに腸まで到達に到達して初めて最小単位のブドウ糖となることができるのです。そこまでいったら味覚はないですから、甘いと感じることはないですよね。
でも、しっかりでんぷんは「糖質」として体に吸収されているのです。
糖質は体内でエネルギーにしかならない
学校の家庭科で昔習ったはずなのですが、栄養素には5大栄養素と3大栄養素というものがあり、3大栄養素とは、5大栄養素の中でもカロリーがあるもののことをいいます。
ちなみに、カロリー=エネルギーですが、食べ物のカロリーは基本的にタンパク質や脂質、糖質の総量によって計算されます。
ビタミンやミネラルはmg以下の小さな単位で、微量栄養素ともいわれていますし、カロリーもありません。もちろん大事な栄養素ですが、ビタミンやミネラルを摂り過ぎて太るということは先ずあり得ないことを知っておきましょう。
話は戻りますが、この3大栄養素の役割として、体内のエネルギーになるというのは全て共通ですが、図にあるように唯一糖質だけが「体をつくる成分になる」という矢印がないのにお気づきでしょうか?
そうです。糖質はエネルギーとしかならないのです。もっともすぐ使えるエネルギー源として糖質は存在していますが、すぐ使えるからこそ、その状態では長く置いておけません。
つまり、すぐ使わないのであれば、蓄えておく必要があるのです。これが体脂肪です。
他のタンパク質や脂質はどうでしょうか?タンパク質というと筋肉というイメージですが、筋肉だけでなく皮膚や骨、血管、内臓、髪の毛や爪、ホルモンまで、体の構成要素そのものがタンパク質です。
ですから、タンパク質はよほど摂り過ぎなければ、余った分を体脂肪として蓄えられることはありません。また、エネルギーとして使うのも、糖質よりも手間がかかるのです。
脂質はどうでしょうか?脂質は脂なんだからすぐ体脂肪になるんじゃないの?と思われるかもしれません。脂質は同じ重さでも糖質やタンパク質よりもエネルギーが2倍以上あって、高カロリーな栄養素です。
ですから、これも摂り過ぎには注意が必要なのですが、これも糖質と違って体の構成要素となります。もちろん、体脂肪ではなく「細胞膜」という、細胞と細胞の間を仕切る膜の材料です。
これがないと、たとえば肌がカサカサになったり、細胞と細胞が維持できなくなってしまいます。
このように、生きるために絶対必要な栄養素が3大栄養素なのですが、その中でもタンパク質と脂質は必須栄養素といわれているのです。しかし違って、糖質は必須栄養素ではありません。
なぜなら、タンパク質も脂質もエネルギーとなるので、糖質の分は代替がきくのです。だから必須にはならないのです。
とはいえ、体の構成要素として必要な栄養素を活動エネルギーとして消費してしまうのは危険ですから、エネルギーは必要量容易しておくべきです。
だから、糖質の量を調整する必要があるのですね。
非必須栄養素である糖質を無くし、他でエネルギーを補わせるのが糖質制限
糖質制限は、もともと体の中で糖質が溢れかえってしまう病気である糖尿病の治療のために使われる食事法です。体内で糖質がエネルギーとして使うことが病気によってできなくなると、摂取しても体脂肪にもなってくれず、筋肉も使ってくれず、体の中に余ってしまうことになります。
糖が血糖として高濃度でずっとある状態になると、糖が血管をはじめ体内の細胞にダメージを与えるため、消費せずに糖を長く血液中においておくのはよくありません。
だから、糖を摂らずに、糖以外のタンパク質や脂質から糖を作らせたり、糖以外のエネルギーを作らせたりする必要があるのです。
難しくなりましたが、つまりは、糖質を摂らないけれども、他のタンパク質や脂質が豊富なものは糖質を減らしたぶん多めに摂るということが、必要になってくるのです。
糖質制限という言葉が一人歩きし、糖質を減らすだけの食事になり、元々のタンパク質や脂質の量は増やさないでいると、体の構成要素として必要な分もエネルギーとして消費されてしまい、体脂肪は落ちるかもしれないが、筋肉も同時に落ちてしまったり、ホルモンなどが不足して体調を崩したり、肌がカサカサになったり、女性は生理が止まったりなどの不調が続々でてきてしまいます。
ですから、糖質制限といっても摂取カロリー自体は適正量まではしっかり摂り、糖質の摂り過ぎを防ぐということさえ抑えていれば、それだけでもやせられるのに、極端に食べる量まで減らしてしまうことが最も危険なのです。
糖質制限すると1,2週間程度で誰でも2kg程度はやせる
糖質制限したらすぐに体重が落ちた!と喜んでいる人も多いと思います。もちろんもともと糖質の摂り過ぎで肥満体型だったた人は効果が出やすいかと思います。
しかし、普通の体型の人があと数キロ落とすために糖質制限をするのはいかがなものか?と思います。
というのも、誰でも糖質制限をすると2kg前後はすぐに体重が落ちます。これがひとつの落とし穴です。
落ちた体重=体脂肪とは限りません。最初にストンと落ちる体重のほとんどが水分。つまりむくみなのです。
体内に蓄えられた糖質は、水分といっしょに結合する作用があり、糖質をとらないことで、その分水分も同時に体外へ出てしまうということから、だいたい誰でもそれぐらいの体重が落ちてしまうのです。
これでやせたと勘違いして、また食事を戻すと、簡単に体重は元に戻ります。むしろ凄く我慢して糖質制限してしまっていると、タガが外れたように暴食してしまって逆にリバウンドしてしまうことさえあります。
体重が落ちればいいという考えは、階級制の格闘技の人達が計量のギリギリでやることと同じ。もちろん彼らはリバウンド狙いでやっているのですから、一般的なダイエットと同じにするのは全く違います。
余剰なエネルギーを摂っていないか?を見直すだけでよい
てっとり早い糖質制限は楽にできるかもしれませんが、ご自分のベーシックな食事の部分の価値観がかわらないと、いつもあっちこっちに振り回されることになります。
太る原因は、単純に余剰なエネルギーを摂り過ぎているからです。
先ほどいったように糖質はエネルギーにしかならない栄養素です。脂質もタンパク質もエネルギーですが、これらよりも、糖質を減らすという優先順位を知ると良いでしょう。
しかし、極端にはしらず、特に大切なタンパク質はしっかり維持したまま、脂質の量も意識するといいかもしれません。
単純に、肉は脂身少なめの赤身にするとか、魚にするとかでよいのです。これらは必ず食べる。
でも、甘いジュースやお菓子などは糖質や脂質しか含みません。特に、糖+脂質の組み合わせでしかできていない食べ物をいわゆる「ジャンクフード」というわけです。
こういうエネルギーが余剰になりそうなものだけをさけ、必要な栄養素を摂取していくクセをつけるのがダイエットであり、太らない体を作る第一歩です。
面倒くさいですが、リバウンドをいままで繰り返している人達は、安易に糖質制限に走らず、するとしてもしっかり知識を入れてから行うようにしないと、今までどおりの結果が待っているということです。